慶国

景王
姓名:中嶋陽子
字:赤子
号:慶東国王 景
氏名:中陽子

キャラクターファイル
 東京出身。頭のお堅い封建的な昔気質の考えを持つ夫婦(母親の名前は律子)のもとに生まれた一人っ子。『月の影〜』当時は高校1年生。高校は親が決めた女子高。自分よりレベルの低い高校らしい。それもありますが、そもそも教師に怒られるのを恐れてテスト勉強や宿題はよくやっていたらしいので、学年でも上の方の生徒と見ていいと思います。

 反抗期というものが目立たなかったようです。両親から抑え込まれたせいで、第2次反抗期が望ましい状態で発揮されなかったものと思われます。ふつう1次反抗期をちゃんと通過しないと、2次で思い切り爆発するらしいので、その爆発は常世に入ってから起こったんですかね(笑)
 蓬莱にいた頃の性格は、外から見ると「手がかからない」「得体が知れない」「いい子」「優等生」等々の評価。クラスメイトからは利用されていた感じ。ただ、友達とケンカしたことはあります。親、教師、クラスメイトから叱られたりペナルティーを課されたりのけ者にされることを恐れていました。これは、自分に自信がない証拠。自信がないということは、保育者からあまり目をかけてもらえなかったと思われます。特に問題を起こさない子どもは、保育者の目から外れやすいのです。何かが成功しても褒めてもらえないし、自分から褒めてもらおうと保育者にその成功を報告することがありません(これは性格)。褒めてもらえない=認めてもらえないと繋がるので、自分に自信が持てない。さらに、12国記シリーズには“胎果は孤独”という法則があります。この法則にのっとって、中島陽子の周りには彼女の孤独を察することのできる、もしくはそのために努力する保育者はいなかったものと思われます。

 中島陽子は、“成長型キャラクター”です。キャラクターというものは、“完成型”と“成長型”に分けられるものと私は考えています。12国記シリーズでは延・氾・廉・奏主従、驍宗、珠晶、等々が前者、慶主従、祥瓊、鈴、等々が後者になっていると思う。ちなみに泰麒はいまだ未知数。後者になって欲しいけども。続編が出ないとね…(遠い目)。

 話を戻して。成長型であるため、中島陽子は、常世と蓬莱では性格が変わります。顔も変わるのでまるで別人。人は本来獣であり、自らの欲望の下に生きている。しかし、その獣の部分を制御できるからこそ人は人となることができます。蓬莱では自分の欲を押し殺して、ただ本当に人として生きてきた彼女は、常世へ来て獣としての自分を知った。片方だけではダメなんですよね。両方あって、それで人間。善いところも悪いところも。強いところも弱いところも。
 成長してからの彼女は、初めのうちは周囲に流されながらも、和州の乱(『風邪の万里〜』)以降はかなり強気に政治を行っています。本当に信頼できる仲間を得たということからくる自信がそうさせたのでしょうね。人間て、「こうしても相手は気にしないかな?」と考えるのがフツウ(というかマナー)ですよね。中島陽子はそれが極端すぎました。誰に対してもそういう思いを抱いていたから。本来は、そんなこと気にしなくっても付き合える人が周りにいないと、うまく生きていかれません。和州の乱で得た人材は、“友達”だとか“仲間”とランク付けられる人たちばかりだったから、これからもそんな人たちと出会いながら国を立て直していくんでしょうね。王の幸運って、人との出会いに関することのような気がしてなりません。

 できた話というものは、キャラクタ一人一人に役割が与えられているものですが、中島陽子はなんでしょう。彼女は言うなればこの十二国世界に投じられた一石。もしくは探偵役なのじゃないかと思われます。